岩井圭也日誌

小説を書いています。2018年夏頃にデビュー作『永遠についての証明』刊行予定。岩井圭吾とも。

「岩井のレーズン」を作りたい

 「エキセントリック少年ボウイ」というコントがある。「ダウンタウンのごっつええ感じ」から生まれた名作コントであり、30歳代ならご存知の方が多いのではないだろうか。このコントは当時大流行し、テーマ曲まで発売された。

 『「エキセントリック少年ボウイ」のテーマ』がリリースされた1997年、私は何の変哲もない10歳の小学生だったが、『テーマ』の2番の歌詞を耳にしたとき、激しい衝撃を受けた。

 なんと「岩井のレーズン」なる「未来のお菓子」が登場するのである。(曲名:『「エキセントリック少年ボウイ」のテーマ』、作詞:松本人志)気になる人は調べてみてください。

 なぜ衝撃を受けたのか。

 実は私は、自他共に認める大のレーズン好き小学生だった。

 なぜそんな習慣がはじまったのかは謎だが、物心ついたころから、風呂上がりには大袋の製菓用レーズン(スーパーで売ってるようなサイズの十倍くらい入ってる)をつまみに牛乳を飲むという「晩酌」を嗜んでいた。

 好きなお菓子は東ハトオールレーズンとブルボンのレーズンサンドだった。この二つのお菓子は私にとっての「二大巨頭」である。

 給食では、レーズンパンのレーズンを丹念に除去するクラスメイトに別世界の人間を見るような視線を送っていた。(指でほじくりだされたレーズンを欲しいとまでは思わなかった)

 そんなレーズン・フリークの私が「岩井のレーズン」という単語を聞き逃すはずがなかった。ダウンタウンのギャグと知りつつ、「もしかしたら本当に岩井のレーズンという商品があるのではないか?」と思い、両親に尋ねたがそんなものはないという。やはり、『テーマ』のなかだけのギャグだったのだ。(ちなみに今でも「岩井のレーズン」の本当の由来を知らない)

 そしてそのとき、ひそかに夢を抱いた。いつかこの手で必ず「岩井のレーズン」を作るのだと。

 

 しかし「岩井のレーズン」を作るという大志はいつの間にか忘れ去られ、私は一介のレーズン好きへと堕していた。

 夢は忘れてもフリークぶりは止まらず、たしか10代のなかごろくらいまで「晩酌」の習慣は続いていたと思う。二大巨頭は今でもよく食べるし、この記事もオールレーズンを食べながら書いている。

 そんな私がふたたび「岩井のレーズン」のことを思いだしたのは、先日の受賞がきっかけだった。「文学賞受賞」という目標は達成したが、まだ他にもやり残したことがあるのではないか。そう、それはレーズン作り……

 調べてみると、自家製レーズンというのは意外と簡単にできるものらしい。特にオーブンがあるとそれほど時間もかからないようだ。

 今、我が家にオーブンはない。しかし近い将来、オーブンを我が家に導入した暁には必ずチャレンジしたいと思う。待ってろよ、「岩井のレーズン」。そう思いつつ食べるオールレーズンは、いつもより甘味が強く感じられた。