岩井圭也日誌

小説を書いています。2018年夏頃にデビュー作『永遠についての証明』刊行予定。岩井圭吾とも。

野性時代と米原熱

 野性時代フロンティア文学賞の選評が掲載された野性時代5月号が、本日発売です。冲方丁辻村深月森見登美彦の三氏という超豪華選考委員の選評で、僭越ながら私の受賞コメントも掲載いただいています。

 書店にお立ち寄りの際はぜひチェックしてみてください。

 今月号は海堂尊久坂部羊知念実希人夏川草介各氏の読切掲載という、医療小説ファンには見逃せない一冊です。櫻井くんの表紙が目印!

 

 受賞連絡から1ヶ月が経ちますが、日常は特に変わりません。早朝に起きて小説を書き、会社に行き、風呂に入って寝るという生活を続けています。

 まずは健康維持を第一目標に、細々とでも途切れることなく、書き続けていきたいと思います。

 

 最近は『打ちのめされるようなすごい本』(米原万里、文春文庫)がきっかけで、「米原熱」が再燃しています。

 最初に読んだ著作は『旅行者の朝食』(文春文庫)で、タイトルに目を引かれて手に取ったのですが、これが読み応えがありながら軽妙な雰囲気をたたえた名著で、すっかり虜になりました。その次に読んだ『オリガ・モリソヴナの反語法』(集英社文庫)はトップクラスに好きな小説のひとつで、何気なくページを開けば、読み終わるまで目が離せなくなります。

 不思議と、氏の著作を読んでいると小説のアイディアがよく浮かぶことに最近気付きました。どうやら米原万里の文章には、人を魅了するだけでなく、創作者の本能を刺激する力があるようです。

 氏がさまざまな書物、人物、世相に向ける切れ味のいい視線は、水面下に潜んでいたつながりを丁寧にすくいあげ、ぼんやりとしていた事象に明確な輪郭を与えてくれます。鮮やかな手つきで提示される真相は驚きをもたらし、読む者を創作へと駆り立てます。

 米原万里の文章は、私にとって、想像力というエンジンを動かすための燃料なのです。